古代東海道・更級日記の道

1020年、菅原孝標女が歩いた上総(千葉)から京への古代東海道を探索しながら進みます。

殿塚・姫塚古墳の研究

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モダンできれいなカバーの本だ。

ただし、題名は難しそうで敬遠したくなる。

          殿塚・姫塚古墳の研究

            ―人物埴輪の3次元計測調査報告書―

 

専門的かつ高額そうで当方には縁がなさそうだがちょっと手にしてみた。

3700円とこの種にしてはお安い。

鹿島学術振興財団研究助成の対象になっているせいだろう。

        (2017年3月 六一書房 全体編集・総括早大 城倉正祥)

主たる内容の2部測量・GPR調査や3部三次元計測はちんぷんかんぷんであるが、それよ

り1部の1期1956年調査の項目が印象的だった。

滝口宏教授が実に効果的な方針を樹立し、開かれた発掘とでもいうものを実施してい

る。地元の4つの中学校生徒、成田高校(マラソンの増田さんの母校)成東高校、同分

校、匝瑳高校、千葉一高の生徒、青年団消防団、割り当てによる地区住民が手伝っ

ている。

県の教員に広く声をかけ、国会議員、知事まで引き寄せている。

結果的に土地の公有化、博物館の設置、国指定史跡をもたらし、現在の芝山はにわ祭に

までに至っている。

一考古学者がこれほどの持続的成果をもたらしている例は他に知らない。

 

 

1956年の発掘風景の写真は別の意味で興味深い。いがぐり頭で学生服の中学生、セーラ

ー服をきているおかっぱ頭の女子中学生、学帽をかぶってシャベルを持つ高校大学生な

ど、それ自体が貴重な資料に思える。