古代東海道・更級日記の道

1020年、菅原孝標女が歩いた上総(千葉)から京への古代東海道を探索しながら進みます。

更級日記‣上洛の記千年(武蔵野書院)

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ちょっと前にこの本の出版を知り、気になっていた。

更級日記というと、上総国府はどこにあったか,「いまたち」とは?と謎解き面ばかり

が強調されているきらいがある。

本質・本籍は文学であろうに。

 

定価税抜き11000円とお高く、なかなか手が出なかったが図書館開架コーナーにひっそり並んでいたのでびっくり。

 

なかなかいい。本質は文学であることを忘れないでいる。

 

二人の編者 和田律子教授と福家俊幸教授の采配、そして武蔵野書院創業100周年記念に選んだ会社の高配は高く評価されるべきと思う。

 

 書店院主の「土地には目に見えない何かが潜み、その重みと深淵を理解できるのは、その土地に対する深い愛着と身についた勘をもった土地の人々なのではないか」との発言

 福家教授の「本書の最大の特質は、歴史学と文学と融合にある」とのあとがきに深く感じるものがある。

 

一般的な古典ファンには手が届きにくいだろうが、内容からいって全国の図書館と文学部図書館(室)には標準的な蔵書になる気がする。

そう考えると経営的にも価格設定は的外れでないかもしれない。

 

東京芸大助教授であった太田聴雨のカバー絵もイメージぴったりで秀逸。さすがに市原市のキャラクターも太刀打ちできない。

 

増刷の時は表紙絵を拡大するようお勧めする。