古代東海道・更級日記の道

1020年、菅原孝標女が歩いた上総(千葉)から京への古代東海道を探索しながら進みます。

資料1 書籍等紙資料

紫式部の娘

平安文学の権威、福家俊幸教授の本「紫式部・女房たちの宮廷生活(2003年平凡社新書)」に目を通した。 平易な読みやすい文章であるが小説家ではなく大学の先生らしく、深くかつ実証を忘れない態度を感じる。題名はちょっとイマイチの感じがするが。 本質から…

雑誌「なごみ」と定家、冷泉家

当方、茶道には全く関心がなく、今後も同様であるが、ある日何気なく雑誌の陳列棚を見ていたら表紙に 特集 定家様【ていかよう】、その書と力 と大きく掲げるなごみ【2月号】という「茶のある暮らし」を提唱する雑誌があった。 思わず手に取ってみるとそれが…

気になる関連報道

数年前になるが、四国遍路をした女性が終わった後でも四国という文字を目にすると 我がことのように気にかかると言っていた。 更級日記にかかる道についても全く同様に思う。 最近の記事から。 1 下総の国の国府に関する2023・11.1付読売記事 和洋女子大、…

更級日記東京の道⑧ 明治大西側遺跡 、江戸城

ここで、少しお茶の水界隈に戻る。 東京医科歯科大には貝塚遺跡があり、前回述べたように一ツ橋2丁目には複合遺跡がある。 現明大通りより西に古代の道があったとするなら、そのあたりに何らかの痕跡があってもおかしくない。ないのだろうか。 そう思ってい…

更級日記東京の道⑥ 発掘調査報告書「(東京都千代田区)一ツ橋二丁目遺跡」について

この報告書は論述内容、図版、写真、まとめの表のほか、紙質・印刷等も含め大変に充実したものであり、一部の人にしか知られていないのはもったいない。 幸い、古書店から原本を取得できたのでごく一部であるが紹介させていただく。 <例言> 旧一ツ橋講堂跡…

邪馬台国連合VS狗奴国(くぬこく、くなこく)連合

白石太一郎氏の「東国の古墳と古代史」を手にした。 (初版 2007年 学生社) 読みやすく、率直な言い方をしてくれているいい本だと思う。参考になる箇所が多い。 1 先ずは、本文内容ではないが序文の箇所。 国立歴史民俗博物館の創設にあたっての井上光貞、岡…

二つの有銘鉄剣と二人の学者(その2)

大塚初重(はつしげ)さんの「東国の古墳と大和政権」に移る。 2002年、山梨県で公職にあった時の発刊だ。1926年東京都生まれとある。当然載っていないが、今年2022年、お亡くなりになっている。 Ⅲ1「王賜」銘鉄剣と房総の古墳という段章で稲荷台1号墳の鉄剣…

二つの有銘鉄剣と二人の学者 (その1)

白石太一郎氏 千葉県の古墳についての白石氏の著述が散見されるので、千葉県の文化課、埋文など関係部署の公務員かなと思っていたら歴博の先生だった。 それはどうということはないのだけれど履歴を見ると関西の大学を出て畿内で研究をされていた方。どうし…

書店と書籍

総理は夏休み前に八重洲の書店で10冊の本を購入したとのこと。 東京駅前八重洲ブックセンターだろう。職場が近いときは結構行ったが,今はいくことがない。 今日ある大きなターミナル駅の駅ビル内にあるくまざわ書店に寄った。 驚いた。 考古学、古代の歴史…

理系考古学者の卓見

「考古学を科学する」という本(2011年 臨川書店)で中條理一郎氏が書かれている「はじめに」の内容に驚いた。 「はじめに」であるが7頁と長く、しかもその内容が考古学に関しての文科系と自然科学の考え方の大きな違いのみならず、広く学問一般に通じる問題点…

古代東海道更級日記の道 武蔵国㉖ 武蔵と相模の国境

多摩川を渡って神奈川県に入っても律令制下における相模国になるわけではない。 相模国は現在の神奈川県西半分。現川崎市と横浜市の大半は南武蔵の南縁部に相当する。 つまり武蔵と相模の境界は横浜市西半分を南北に縦断し、関東山地から三浦半島へ続く多摩…

古代東海道 武蔵国⓲ 本郷通りのゆくえと参考文献

これでいいのかと、少々不安ながらの、お茶の水行きであったが、帰ってからとても良い本に巡り合った。 著者は元柏書房の社長さんで、地図学会の評議員や東京経済大の客員教授を務めている。書名からは元社長さんの趣味的なものに感じてしまうが、中身は専門…

古代東海道 武蔵国⑪ 道の探索と参考となる図書

豊嶋の駅家から皇居までのルートについて試見,私案でもいいので具体的コースを挙げてくれる人がいればいいのだけれど残念ながらほとんど目にできない。 というわけで暗中模索することに。方法としては A: 地図上から考える=まさに机上のプラン、b: Aに…

古代東海道 武蔵国⑧ 「谷根千 地図で時間旅行」を読んで

森まゆみさんは自分の町と感じる「やなか、ねづ、せんだぎ」について25年間地域雑誌「谷根千」を発行してきた。 その地域について江戸開府以来、現在まで関係する地図を1冊に集めて町の歴史を読み解こうとする本が「谷根千 地図で時間旅行」。(2015年 晶文…

古代東海道 武蔵国⑦ 浅草から上野は考古学上重要地域

関東の考古学という本があった(1991年初版、学生社)。執筆者7人中6人が関東の大学を出て関東の大学や公的機関で職に就いている中、一人同志社大を出てそこの教授をしている方がいらっしゃる。森 浩一という先生で大変高名な学者らしい。 ちらっと拝見する…

県史‣市史のこと ―市川市史ー

市川市史 地域についての総合的体系書ともいえる県史,市史を出している自治体が少なくない。 学術性的性格は高く、しかも愛郷心で裏打ちされているせいか中央の出版社や行政機関ならカットするようなものも極力丁寧に取り上げており一級の資料価値を有する…

開発と業界―大学考古学専攻、教育委員会文化課(文化財保護課)・財団(埋蔵文化財センター)―

岡山大文学部教授松木武彦氏の手になる「未盗掘古墳と天皇陵古墳」という本がある(2013年 小学館)。センセーショナルな書名で、ちょっとどうかとも思われるが、だからこそ人に手に取ってもらえるわけで、その書名に意味がないわけでもない。 読んでみると結…

更級日記‣上洛の記千年(武蔵野書院)

ちょっと前にこの本の出版を知り、気になっていた。 更級日記というと、上総国府はどこにあったか,「いまたち」とは?と謎解き面ばかり が強調されているきらいがある。 本質・本籍は文学であろうに。 定価税抜き11000円とお高く、なかなか手が出なかったが…

関東の道路史(建設省関東地方建設局)

題名から受けるイメージをはるかに超える内容を持つ。 絶賛に値する。 私は政令指定都市に居住する。その市立中央図書館の方が県立よりはるかに近代的で優れているのでもっぱら利用しているが、ある日気まぐれに10年ぶりに県立中央図書館に行き、開架式棚を…

更級日記の研究

先日、ひさしぶりに神田の古書店街を歩き、この大著を目にした。 1500円とお安かったので購入。 本来は文学の先生であるが、この日記に関するあらゆる側面に綿密なる考証を加えている研究論文である。 地理的側面のことも詳細で、国府位置や帰路の経路につい…

日本古代史研究辞典

「はじめに」にある問題意識でもわかるが(*)、それへの手助けになる平易に総合的に書かれている良著と思う。 (*) 研究の深化と拡大は、必然的に日本古代史研究の全体的状況を把握することを困難にし、新たに研究を始めようとする学生のみならず、専門の研…

千葉の道 千年物語

そういえば、ミレニアムという言葉がはやったのが平成12年、西暦2000年のことだった。 これを記念に県紙千葉日報に連載されたものをもとに発行された県の道路に関する集大成だ。 ヤマトタケルから現代の東京湾アクアライン(1997年開通)とよくまとめてある。 …

更級日記と池田の池

吉野秀夫氏は数冊の研究成果を本にまとめて公にしている。 更級日記の「いかたというところにとまりぬ」の「いかた」という地名の場所解明に重きを置き、さらに関連する地名や詳細なルートについて見解を述べている。 驚くほどの情熱、ボーリング調査まで厭…

The Sarashina Diary

A woman's life in eleventh century japan 数年前、コロンビア大学から英訳が出版されている。 写真も多く読みやすそう。 日本人学者も参加している。 源氏物語がもてはやされているけど、それは悪く言えば貴族社会の情痴小説。 更級の方は女の一生を記す。…

房総古代道研究会会誌 (一)~(四)

千葉市立中央図書館の地域資料を並べてある部屋で市原市の郷土史を研究しているグループが発行する会誌を見つけた。 写真は全4号中の3冊。 根底に地元愛があり、前向きな熱意が感じられる。 特に1号は充実(2016年発行)。項目は以下のとおり とりわけ…

日本古代道路辞典

こちらの書籍は図書館にあった。禁帯出だったけど1万を超える高額な図書だけに助かる。 前回紹介したものの8年前の発行。 地図は少ないが文書が多く、論文集という感じだ。 特に序の記述が参考になった。 古代交通研究会の編であり、中心の方は同じメンバー…

古代東海道のルートと「地図で見る東日本の古代」

古代東海道のルート図を知りたいが、アバウトあるいは部分的なものばかり。 「延喜式では、○○となっている」という概略的なもの多い。 郷土史あるいは自治体が解説するものはかなり詳しいが、残念ながら身近あるいは管轄内のものがほとんど。もう少し広く、…