古代東海道・更級日記の道

1020年、菅原孝標女が歩いた上総(千葉)から京への古代東海道を探索しながら進みます。

2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

古代東海道/更級日記の道3 下総国2—江戸川から隅田川①—

じめに 現在の千葉県と東京都の境は江戸川であるが、下総国と武蔵の国は隅田川を境としていた。確かに東京都江戸川区から見る対岸は緑の多い小高い丘陵になっており景色はかなり変わり、違う国のようにも思える。 孝標女自身も江戸川を境と誤解していたが無…

県史‣市史のこと ―市川市史ー

市川市史 地域についての総合的体系書ともいえる県史,市史を出している自治体が少なくない。 学術性的性格は高く、しかも愛郷心で裏打ちされているせいか中央の出版社や行政機関ならカットするようなものも極力丁寧に取り上げており一級の資料価値を有する…

古代東海道 下総国㉜ 市川砂州と地表の現状(構築物)

下総の国府、井上駅家、どこで現江戸川を渡ったかについて考え、進む前にそこへの通り道になる市川砂州の現状(地表構築物)を見てみよう。撮影は直近2021年11月。 ちょっとローカルすぎるので遠方の方はつまらないかも。逆に有名作家がいたところなので関心が…

くろとの浜と黒砂くろとの浜公園

更級日記において「くろとの浜」はいろいろな意味で重要なポジションをもつ地名だ。 市原市立図書館主催の講演会で配布されたレジュメには黒砂くろとの浜公園の写真が載っていた。 当ブログ古代東海道更級日記・下総国⓴では少し北側(内陸)、千葉大と敬愛大キ…

文学講座・特別講演会『更級日記」の東国

9月末、キャンベルさんの講演会があったばかりであるが、それから1月ちょっとで今度は図書館主催で講演会があった。9月の講演はコロナの影響でかなり遅れたのでそのせいで近接した模様だ。 しかし何とも贅沢な講演だった。 去年出たばかりの大著の編著者お二…

ドライブ・マイ・カー(カンヌ国際映画祭脚本賞受賞)感想

当方映画を見る習慣・趣味はなく、よほどのことがない限り2~3年に1回だ。 ところが今年,2回も見てしまった。 1回目は3月8日、新エバンゲリアン劇場版。 エンディングに宇多田ヒカルの歌を流しながら関係者のリストを出すが、小生、ほんの少しお手伝いをし…

「まのの長者」伝説→井上靖訳と平安海進、ツバル、地球温暖化のこと

更級日記について、最近は学者先生の訳したものが多いようだけど昔は文学者によるものも多かったようです。 以下は井上靖訳(昭和40年河出書房新社発行の日本文学全集3)。口絵には堀 文子のオリジナル画がついているし、なんと贅沢なことか。 訳はわかりや…

海面の高さと時代区分の長さ

旧石器時代→縄文時代→弥生時代→古墳時代→ 奈良・平安時代→鎌倉時代と続く程度のことは識貧困な当方でも知っているが、それぞれがどのくらいの期間続いているのかは感覚的にはつかみがたい。 昔の入り江の位置、道路の位置は各時代当時の海面高さで大きく変わ…

古代東海道 下総国㉛ 砂州と松の木

孝標の娘は白砂と松林の風景が好きだったようだ。 泊まった黒戸というところ(下総の国、現千葉市のどこか)は片側が広々とした砂丘で砂浜は遠くまで白く続き、そこには松原が茂っているとその情景を愛でつつ描写している。 逆に武蔵の国では「ことにをかしき…