古代東海道・更級日記の道

1020年、菅原孝標女が歩いた上総(千葉)から京への古代東海道を探索しながら進みます。

総論・序論の章

磨り石の展示について

あるところで見た展示 あれ?うちの庭に転がっている石に似ているなあ。 もしかして遺跡の石が我が家に?そんな馬鹿な。 展示の説明をよく見ると 磨(す)り石とある。古代の人が磨いて作った石ではなく、植物を磨(す)るために用いた 石らしい。 とすると遺跡…

理系考古学者の卓見

「考古学を科学する」という本(2011年 臨川書店)で中條理一郎氏が書かれている「はじめに」の内容に驚いた。 「はじめに」であるが7頁と長く、しかもその内容が考古学に関しての文科系と自然科学の考え方の大きな違いのみならず、広く学問一般に通じる問題点…

古代東海道 武蔵国⑥v2 別の道で谷中霊園(豊嶋駅家)へ

(末尾に追記があります) 現在地から目的地へ行く場合に、出発箇所ではいくつかのルートがあるとしても目的地近辺の都合から遡って出発ルートの選択が限られる場合もある。 思考経済上も目的地近辺の(歴史的)地理を見ておくのが有用に思う。 江戸時代はつい最…

古代東海道 武蔵国⑤ 大関横丁(三ノ輪)から谷中へ

隅田川の渡し(白髭橋の少し上流か)で対岸石濱あたりへ渡河するまではわかるとしてその先がはっきりしない。 豊嶋の駅家が谷中とする説を前提として石浜から三ノ輪までのルートのついては前に述べた。大関横丁交差点付近については次のように考えている。 …

古代東海道 武蔵国④ 歴史的農業環境閲覧システムと荒川区南千住から台東区三ノ輪駅近辺へ

前回、明治13年~19年の迅速測図原図に隅田川貨物駅の広大な線路が見えているのは早すぎないかと疑問を述べたが、歴史的農業環境閲覧システムの解説をよく読むと「現在の道路(赤線)、河川(水色線)、鉄道(灰色)」と書いてある。 黒っぽく見えた鉄道の軌跡は灰…

古代東海道 武蔵国② 隅田川のほとりで考える最近のこと

市原市界隈から始めてここ隅田川ほとりについての考えをアップするまでの短い期間であるが、結構考えさせてくれる事柄が生じている。—決して芳しくないものではなく、むしろ逆であるが—。 1はNHK大河ドラマで今日2022年1月9日から始まる「鎌倉殿何とか」関…

迅速測図と活用v2 / 古代東海道 下総国㉟

迅速測図(圖) 1⃣比較的新しく歴史・地理について書かれたものを拝読すると参考文献として迅速測図を挙げる人が多い。 研究者はむろん、郷土史家、はたまた町内会のレポートまで。 例 市川市中国分町自治会には中国分史書編集委員会なるものまであって格調高…

古代東海道 下総国(江戸川から隅田川)⑤v2 東京低地の古代のイメージと流れる川の現況

東京低地湿原イメージ 湿原であった東京低地のイメージとして参考になるものを挙げたい。 上総の国と下総の国の境当たり、現市原市と千葉市の間茂原街道沿いに出水の多い広範な湿地帯がある。 都市圏であり、いつまでも開発から免れ得ないと思うので取り合え…

くろとの浜と黒砂くろとの浜公園

更級日記において「くろとの浜」はいろいろな意味で重要なポジションをもつ地名だ。 市原市立図書館主催の講演会で配布されたレジュメには黒砂くろとの浜公園の写真が載っていた。 当ブログ古代東海道更級日記・下総国⓴では少し北側(内陸)、千葉大と敬愛大キ…

文学講座・特別講演会『更級日記」の東国

9月末、キャンベルさんの講演会があったばかりであるが、それから1月ちょっとで今度は図書館主催で講演会があった。9月の講演はコロナの影響でかなり遅れたのでそのせいで近接した模様だ。 しかし何とも贅沢な講演だった。 去年出たばかりの大著の編著者お二…

「まのの長者」伝説→井上靖訳と平安海進、ツバル、地球温暖化のこと

更級日記について、最近は学者先生の訳したものが多いようだけど昔は文学者によるものも多かったようです。 以下は井上靖訳(昭和40年河出書房新社発行の日本文学全集3)。口絵には堀 文子のオリジナル画がついているし、なんと贅沢なことか。 訳はわかりや…

海面の高さと時代区分の長さ

旧石器時代→縄文時代→弥生時代→古墳時代→ 奈良・平安時代→鎌倉時代と続く程度のことは識貧困な当方でも知っているが、それぞれがどのくらいの期間続いているのかは感覚的にはつかみがたい。 昔の入り江の位置、道路の位置は各時代当時の海面高さで大きく変わ…

開発と業界―大学考古学専攻、教育委員会文化課(文化財保護課)・財団(埋蔵文化財センター)―

岡山大文学部教授松木武彦氏の手になる「未盗掘古墳と天皇陵古墳」という本がある(2013年 小学館)。センセーショナルな書名で、ちょっとどうかとも思われるが、だからこそ人に手に取ってもらえるわけで、その書名に意味がないわけでもない。 読んでみると結…

手に汗を握るような遺跡の報告書 武田宗久氏と滝口 宏氏

以前、紹介した遺跡調査報告書*について 非本質的な事柄かもしれないが、最近の整った役所的・公文書的報告書にはない、舞台裏の手に汗握るような、胸を打つ箇所があった。 発掘や調査にあたる人々の熱意や苦労が偲ばれるし、研究者への支援を考えるとき参…

古代史(文献史学)と考古学

「千葉県の歴史」という電話帳というか広辞苑のような分厚い本があった。 社史のような自己礼賛の書と思ったらとんでもない体系的良著だった。 網羅的内容で研究者にも、専攻する学生にも、私のようなにわかファンにもとても参考になる。 本のことは別に述べ…

歴史学者 吉村武彦さんの提唱

2021.6.4付読売の記事が興味深かった。 吉村武彦さん(1945年生まれ)はじめは東大でフランス近代史を志したが、日本史に転 じ、興味を持ったのが明治維新。 が、近代を知るためには近世、近世を知るためには中世を知らなければと遡るうちに古 代史が専門分野…

国司御一行様赴任旅の乗物と石山寺縁起絵巻

身分のある男性は騎馬、 下人は徒歩 身分ある女性は手車や手輿 一部の女性は騎馬 と考えられているようだ。 その根拠は?というと石山寺縁起絵巻の絵にあるもよう。 だがしかし、 この絵巻は鎌倉時代末期に描かれた想定画。しかもビグネームの石山寺参詣を描…

古代道路の道幅

木下 良氏は日本古代道路辞典序1の(1)「誤解されていた古代道路」で次のように述べる。 1970年代に日本でも古代道路が直線的路線をとって計画的に敷設された大道であったことが指摘されるようになるまでは、日本の古代道路は自然発生の踏み分け道を幾分拡…

延喜式って何?

古代の道のことを述べる本には必ず「延喜式」なる言葉が出てくる。 そういえば昔、日本史の教科書でその言葉を目にしたっけ。 今、更級日記を考える上でも必須の言葉になる。 ではその定義は? 国立歴史民俗博物館研究報告第218集(令和元年12月 非売品) 古代…

更級日記に関する資料・文献

参考になる資料・文献 更級日記の文学性に重きを置くものと 古代東海道のルートや当時の中央・地方の政治・統治機構、社会の風俗など、歴史・地理学的考察に力点を置くものに大別できるようです。 前者は古くから文学部あるいは文筆家(ちょっと前は堀辰雄、…

ブログ開設のご挨拶

初めに 片雲の風に誘はれて、漂泊の思ひやまず 芭蕉ではありませんが私もさすらうことに思いを寄せる人間です。 最後の清流四万十川源流、方丈庵旧跡(不正確と思います)も見に行きました。東京都心にもいいところはあって、例えば目白通りの胸突き坂(文京区)…